第2章~出会い~

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彼は恥ずかしいのか、目を逸らしたままだ 私は小さな詠唱のあと パンを3個とコーヒーを2つ出した いちいち家に帰るのがめんどくさいので、いつもこうして昼食を摂るのだ 「どうぞ」 笑って差し出す 彼は小さく礼を言って食べ始めた よほどお腹が減っていたのか 丸飲みする勢いで食べる彼は なんだかちょっと可愛いかった 彼の食事が終わると 沈黙が訪れた ……気まずい… 話題を探そうにも何を聞いたらいいのやら… そんな葛藤をしていると 彼が先に口を開いた 「…その髪の色…」 彼は私の髪を見ながら呟くように言った 「あぁ、やっぱり…気になる…?」 私の髪と瞳は赤褐色だ 彼や、この国民は皆…黒なのに この色は昔から 『悪魔の色』 とされてきた 強力な魔力を持つ人間に現れる色らしい そして、大概の人間は その強力な魔力を使い悪事を働いてきたという 歴史上の犯罪者の多くはこの髪と瞳を持つ 私はそんなつもりはなくても周りは勝手に決めつける 「悪魔の色だ!悪魔の子だ!放っとけばこの国は滅びる!!」 私はいつもそういう目で見られた だから街の片隅でひっそりと暮らしてきた  
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