5人が本棚に入れています
本棚に追加
だけど…
周りからの非難の目に耐えられなくなった私は
田舎へと引っ越した
田舎なら受け入れてくれるかもしれない…
そんな甘い考えで…
だが…その考えはすぐに打ち砕かれた
田舎のほうが人を見る目が厳しく
さらに酷い迫害を受ける羽目になったのだ
私はこの街に戻り、人目につかないように静かに暮らしてきた
だから友達もいない
両親は数年前に亡くなったから今は完全に独りだった
別に寂しくはない
私には魔法がある
毎日、鍛練することで自信を付けてきた
誰かを傷付ける魔法じゃなく
誰かを救える魔法を身に付けることで
悪い歴史を拭いたかった
私は自分の肩まで伸びた髪を指でとかす
「こんな色だけで判断されたら迷惑だけど…
仕方ないし、私はこの色が結構好きなんだ…」
自嘲気味に笑ってみる
「自分だけは自分を好きでいないと…可哀想でしょ?」
なんちゃって…
と私は彼に笑いかける
彼は真剣に話を聞いてくれていた
こんな私を差別することもなく
批判するわけでもなく
ただ黙ってそこにいた
最初のコメントを投稿しよう!