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「なんでも…って…」
ヒロは溜め息を吐く
止めなきゃと思うほどに涙が溢れてくる
涙の理由がわからないから
止めようもない
私はひたすら首を横に振っていた
嗚咽をこらえすぎて声も出ないほど…喉が痛くなるまで泣いた
やっと涙が落ち着く頃には
太陽が沈みかけていた…
久しぶりにこんなに泣いたな…
痛む頭を抑える
じんわりと痛みが和らぐのを感じる
「魔法使いって便利だな」
ヒロが呟く
確かに
こんな痛みならすぐに治るし
空を飛ぶこともできる
でも…
「私はこんな能力なんて欲しく無かった」
自嘲気味に笑う
「この色さえ…能力さえ…なければ…私は…」
もう涙は出ない
ただ…目頭がちょっと熱くなったので
私は膝に顔を埋めた
…ポンポン…
遠慮がちに後頭部を撫でる手
暖かくて
優しくて
また…
涙が溢れた…
それでも
優しい手は
ずっと
頭の上にあった
私が泣き止むまで
ずっと…
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