もう一度…

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「これ、美味いって」 洒落たレストランで夕食。 私は、ステーキとデザートを注文した。 初めて食すステーキに感動を覚える。 「お前、ガキかよ」 「いや、本当に美味いから」 そう言って黙々とフォークを進める。 こんな美味い肉を食べたのは初めてだ。 そんな感想を思いながら、デザートも口へと運ぶ。 「今日は、ありがとう」 「え?」 「楽しかった。少しは、疲れとれた?」 「お蔭様で。明日から仕事、頑張んないとな」 少し引き気味に唇を歪ませた。 ふたりで過ごす時間は、あっという間に過ぎ行くもので。 気がつけば、時間は深夜1時を回っていた。 「今日は、帰って寝よう」 恋人同士のように腕に手を回し、自宅へと足を急がせる。 「舞。今日はありがとう」 「ううん。海くんが元気になってくれてよかった」 「ごめんな。これからは、忙しくなってお前を構ってやれないかもしれない」 優しい口調でいつもの海くんの笑顔だった。 「私は、大丈夫。夜遅く帰って来ても、海くんはここにいるでしょう?それだけで私は幸せよ」 「本当、ごめんな。そのかわり、今日は一緒にいような」 「うん」 私たちの愛は、どんな綺麗な愛でもそれ以下の価値はありえない。 その綺麗な愛以上の愛が私たちの愛だと信じている。 だから、この愛を信じてみたくて私はあなたを慕った。 あなたの気持ちに応えたくて私は好きになった。 元恋人に似てるあなたに私はもう一度恋をする―。
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