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「漣くーん」
最近、やたら漣くんに近づく女。
午後2時10分…私は、限界に達しました。
もう、我慢出来ません。
「ちょっと、あんた何のつもり?」
やたら漣くんに付きまとう女に私はキレた。
「は?何が?」
「とぼけ…」
「舞、もういいよ。俺も思ってたんだけど、あんた誰だっけ?どこの誰か知らないけど、気安く人の名前呼ぶのやめてくれる?そう呼ぶのこいつしか認めてないから」
私を指指しながら、その女にバサッと毒を吐く。
するとその女は、瞳に涙を浮かべて教室を後にした。
「ありがとう…漣くん」
「いや、礼言うのは俺のほうだから。ありがとう。言いたいこと言ってくれて」
少年のような笑顔で、私に微笑みかける。
この笑顔がたまらなく大好きだ。
「漣くんは、優しいね」
「舞、だけにね」
あ、また好きが積もった。
漣くんは、たまに狡いことを言う。
私を真っ赤にさせて、くすくす笑う。
「もう、見んな~」
漣くんの前に手を当てて、目を隠す。
そして、そんな私を見てまたからかう。
「顔、赤いけど?」
「元々…!」
そんな漣くんは少年のような可愛さを兼ね備えていて。
でも、私には何もない。
漣くんだけがいつもキラキラしてて、でも私はただ隣にいるだけ。
私は、漣くんの飾りのようなもの。
もっと漣くんに近づきたい。
私は自然とそう思っていた。
彼の笑顔を見るだけで、私は幸せだった。
あんな事故さえ起きなければ…。
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