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ゆらゆらと揺れるふたつのリング。
これは、私と海くんの愛の証。
「お前、いつまで笑ってるんだ?」
「あ~…幸せ」
海くんの腕にすりすり。
「あ、日向。進路決めたのか?」
「まだ」
「そうか。俺、実は就職決まってんだ」
海くんが未来の話をすることに戸惑ってしまう。
「親父の会社、継ぐことになった。俺の親父は、社長なんだ。だから俺もいずれかは社長になると思う。それで、親父の話だと俺に秘書を付けると言ってんだ。お前で良かったらやらないか?」
「私が海くんの秘書…?」
「ああ。忙しくなる日は、多少あるが、悪い話じゃない」
秘書…。
その言葉は私の体に重くのしかかった。
「無理だよ」
「なんで?日向は、頑張ってきたじゃん。必死でここまで来たんだろ?そんな奴が無理なわけない。強制はしないけど。考えておいて」
「わかった…」
その日、私はお母さんに相談した。
すると、以外な答えが返ってくる。
「お母さんは、反対しないわよ」
「え…?」
「舞がやりたいって思ってるんだったら、やればいい。それに…」
優しい瞳を私に向け、お母さんは呟くように言った。
「あなたに幸せになってほしいの」
「うん」
気がつくと私は、頷いていた。
自分が一番わかってる。
傍にいなくちゃいけない人。
一緒に生きていかなきゃならない人。
それは、海くんだってこと。
あなたが私に勇気をくれたんだよ。
ありがとう…私、頑張ってみるね。
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