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最愛の死
私が見ている星空は、漣くんなのかな…。
「舞、どうしたの?舞っ!」
「千紗…、漣くんが…死んじゃった」
「えっ!?なに、それ。どういうこと?」
心配な顔つきで千紗は、私にそう言った。
だけど、もう遅いんだよ全部。
「わかんないよ!もう、漣くんはいないの!!バイバイ出来なかった…」
その瞬間、涙が一気に溢れ出す。
「舞、病院行こう。四ノ瀬くんにあって来るの。ね?」
「うん…」
千紗に支えられながら、私たちは漣くんの元へ向かった。
そこには、私のお母さんと漣くんのお父さんが深刻そうな顔で、ベンチに腰掛けていた。
「舞」
「お母さん…」
「漣くんの顔、見てあげて」
その言葉通り、私は漣くんの真っ白い顔を見つめていた。
漣くんに語りかけるようにそっと呟いた。
「ねえ、起きてよ。漣くん、いなくならないって言ったよね?起きてよ!漣くん!!」
次第にその声は大きくなった。
感情が思うように効かなくて、私は何度も漣くんの肩を揺らした。
でも、彼が動くことは一度もなかった。
その時、私はやっと理解することが出来た。
漣くんは私を置いて、遥か遠い世界まで旅立ってしまったことを。
「舞ちゃん。漣は、君のこと本当に大好きだったんだ。家に帰ればいつも君の話ばかりだった。でも、その事故は突然、起きてしまったんだ。君と彼女が祭りに行っていると聞いてな。漣は、急ぎ足でその現場へと向かったんだ。その途中で事故に…」
おじさんは、事故のことを一部始終話してくれた。
漣くんは、即死だったらしい。
私の大好きな人が、私を置いてどこか遠い世界へと旅立った。
沢山の思いを残しながら…。
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