最愛の死

1/3
前へ
/27ページ
次へ

最愛の死

私が見ている星空は、漣くんなのかな…。 「舞、どうしたの?舞っ!」 「千紗…、漣くんが…死んじゃった」 「えっ!?なに、それ。どういうこと?」 心配な顔つきで千紗は、私にそう言った。 だけど、もう遅いんだよ全部。 「わかんないよ!もう、漣くんはいないの!!バイバイ出来なかった…」 その瞬間、涙が一気に溢れ出す。 「舞、病院行こう。四ノ瀬くんにあって来るの。ね?」 「うん…」 千紗に支えられながら、私たちは漣くんの元へ向かった。 そこには、私のお母さんと漣くんのお父さんが深刻そうな顔で、ベンチに腰掛けていた。 「舞」 「お母さん…」 「漣くんの顔、見てあげて」 その言葉通り、私は漣くんの真っ白い顔を見つめていた。 漣くんに語りかけるようにそっと呟いた。 「ねえ、起きてよ。漣くん、いなくならないって言ったよね?起きてよ!漣くん!!」 次第にその声は大きくなった。 感情が思うように効かなくて、私は何度も漣くんの肩を揺らした。 でも、彼が動くことは一度もなかった。 その時、私はやっと理解することが出来た。 漣くんは私を置いて、遥か遠い世界まで旅立ってしまったことを。 「舞ちゃん。漣は、君のこと本当に大好きだったんだ。家に帰ればいつも君の話ばかりだった。でも、その事故は突然、起きてしまったんだ。君と彼女が祭りに行っていると聞いてな。漣は、急ぎ足でその現場へと向かったんだ。その途中で事故に…」 おじさんは、事故のことを一部始終話してくれた。 漣くんは、即死だったらしい。 私の大好きな人が、私を置いてどこか遠い世界へと旅立った。 沢山の思いを残しながら…。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加