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理解できたとは言え、その事実を受け入れることだけはどうしてもできなかった。
「どうして私を置いて行くの?絶対に私から離れない…って言ったよね?漣くん…答えてよ」
必死で語りかけても、彼が答えることはなかった。
漣くんは私の元へ、一生戻ることはないだろう。
ベッドの上で白い布を被った漣くんにそう零していた。
「私、まだバイバイしてないよ…。離れないって言ったじゃん。ずっと私の側にいるって言ったじゃん」
何も答えない漣くんに何度も何度も問い掛けた。
すると、微かだったが漣くんの声が聞こえた気がした。
『舞、ごめんな。お前の側にいれなくなった。でも、俺はずっとお前だけを見ている。だから、泣くな…』
そう言った気がした。
「漣くん…」
最後に名前を呼んで、私はその場を後にした。
外に出ると、何だか空が笑っている気がした。
この空は漣くんのように、私に向かって微笑むのだった。
「ありがとう。漣くんに出会えてよかった…」
本当は、ずっと側にいてほしい。
本当は、隣で笑っていてほしい。
でも…もう、無理なんだよね。
わかってる。
わかってるけど、私にはどうすることも出来ない。
漣くんの側にいることも出来ないし、笑うことも出来ない。
だけど私は決めた。
もう、泣かないって。
「なんとかなるー!!」
私は、蒼い空に向かってそう叫んだ。
今、きっと一番の笑顔であなたを見上げてる。
どんなに辛くても、どんなに悲しくても、私は笑顔でいない君にこう告げる。
「私は大丈夫」
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