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もうひとりの…?
ガヤガヤ…。
やけに教室が騒がしい。
何の騒ぎかと聞けば…。
「転校生?」
「そう。結構なイケメンらしくてそれでみんな騒いでる」
この転校生が私の運命を大きく変えることになるなんて…。
「はい、みんなも知ってる通り転校生を紹介します。入って」
ガラッ―。
扉を開けた向こうには、キラキラとした世界が広がっていた。
「漣くん…?」
彼が教卓の前に立ち顔を向けた時、それは紛れもなく漣くんだった。
なにが起きたのか、さっぱり理解不能。
漣くん…なの?
それは、私の知ってる顔ですごくよく似てる。
「一ノ瀬海だ」
短い挨拶をし、づかづかと空いてる席へと移動する。
不覚にも彼は私の隣に。
「漣くん…?あなた、漣くんなんでしょ?」
「は?なんだおめー」
「ちょっととぼけないでよ。何でここにいるの?」
気がつくと私は声を荒げてそう叫んでいた。
その声に気づき、みんなが振り返る。
それもお構いなしに話を続ける。
「突然私の前から消えて、今度は突然現れて?私は漣くんを傷つけたくなくて、もう泣かないって決めたの!それなのになんで?ねえ、漣くん!!」
本当は、わかってる。
彼が漣くんじゃないってこと。
だけど、信じたかった。
泣かないって決めたのに。
漣くんと約束したのに。
自然と涙が零れていた。
ごめんね、漣くん…。
約束…守れ、なか、った…。
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