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第三章 薩った峠の戦い
1558年、6月1日夕刻。
鳴海城内の大広間にて今川家、遠征部隊の主な家臣一同が集まった。
上座には、今川義元が座る。義元を囲むように義忠と今川家臣団が座る。無論、降伏した織田家の家臣も座る。
「皆、よくやってくれた。尾張は統一寸前である。早々、上洛できるであろう。」
義元が一同に労いの言葉をかけると同時に、皆の士気を上げた。
「お~お!」
家臣から歓声があがった。
「今回の論功第一位は、義忠である。論功交渉を楽しみに致せ!」
「ははっ」
義忠が頭を下げる。
突然、一騎の伝令が鳴海城内に第一報を届けた。
「義元様、一大事にございまする。武田信玄率いる、一万五千の軍勢が駿河の下山城を攻め落とし。富士川を南下して駿府城に向かいつつありまする」
「間違いないな!?」
義元が伝令に聞き返す。
「御意」
一瞬、暗い表情をした義元だが、すぐに、武将たちに命令を与える。
「駿府に軍勢を取って返す!尾張守備隊長兼、鳴海城代を今川義忠に任せる!義忠、背後は任せたぞ!!」
「ははっ、畏まりました。」
義元は鳴海城に兵八千を残して義元はすぐに一万七千の兵で駿河に五日で軍勢を取って返した。
義元はすぐに、駿府城内で、軍議を開いた。
「父上、よくぞお戻り下さいました」
嫡男の氏真が、義元に言葉をかける。
「この役立たずめが」
義元が氏真を蹴り飛ばす。
「申し訳ありませんでした」
「戦況は?」
「只今、武田勢一万五千は、軍勢を二手に分け。内藤昌豊の兵五千を大宮城攻撃に向かわせています。残りの本隊一万は、信玄自ら率いていて、薩った峠に陣を構えています」
氏真の報告が終わり、義元が一人で考え始める。
「して、如何に致すか」
ボソリと独り言をはきながら、思案を巡らせた。
「氏真、北条家に援軍要請をしてあるであろうな?」
「はい。すでに、早馬にて要請してあります」
「よし、武田軍をさった峠にて挟み打ちじゃ」
「皆の者、出陣じゃ!!」
義元の声が大広間に響き渡る。
「お~お!!」
家臣達から歓声が上がる。
今川勢二万は、急ぎ足でさった峠に陣を構えた。
対する、武田勢一万は、さった峠から少し後退したところにある。由比に陣を構えた。
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