第一章 出会い

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「相分かった。村に帰るがよい」 義元が言う。 「有り難き幸せにございます」 兄弟と他の仲間達の全員が頭を深く下げ、駿府城を後にし、富士川村に帰った。 「兄上、だけでも、仕えれば良いものを」 「まぁ、良いではないか。」 「だが、兄上、仕えるのもまんざらでもないな。書物も読めそうだしな」 その頃、駿府城内ではまだ、義元と泰能が話しあっていた。 「源次郎、欲しい。あのような魅力を放って居る。者を。野放しにしているのは。もったいない。富士川村に使者を送れ!泰能。」 「ですが、先ほど断られていますが。よろしいのですか?」 「よい。すぐにだ!」 「ははっ」 泰能は、使者として今川家の家臣の岡部元綱を送った。 「某は、今川家臣の岡部元綱と申します。義元様の命にて、源次郎様を家臣にと、お迎えに来ました。」 「断る。それより、元綱と、申したな、鉄砲は、撃てるか?」 「いえ。それより..」 元綱は、お迎える事を再度聞こうとするが、それを源次郎が制す。 「では、木刀で、俺と勝負せよ!その方が勝てば、今川の家臣になろう。」 「畏まりました。いざ!」 元綱が力攻めで、源次郎を押したおす。それで油断したのか、源次郎に土を、目にかけられ、源次郎がその間に立ち上がり、元綱の首に木刀を向ける。気づいた時には、元綱は、負けていた。 「勝負あり!勝者、源次郎!!」 兄の源三郎が叫ぶ。 「勝負あったな。だが、お主もなかなか、強いな」 源次郎が元綱に声をかける。 「源次郎殿には、かないません。では、某は、これにて御免」 元綱が駿府城に向かった。 結果を待ち侘びていた。義元に元綱は、面会した。 「元綱、如何であった?」 「面目次第も御座りません」 「まあよいわ、次は、儂自ら行くか。」 「それはいけません」 泰能が義元を止める。 一ヶ月後、義元は、家臣の反対を押し切り、源次郎たちの居る。富士川村に向かった。 民間の一室に入り。源次郎を待った。半刻後、源次郎が奥の部屋から出て来た。一緒に着いて来たていた、泰能と元綱も眼を疑った。 「これこれは、国主様、本日は何用で?」 ここに、居る人物が源次郎かと思うくらい。正装の服を着て、烏帽子、刀を帯びていて、立派な青年に見えた。 「そなた、何歳になる?」 義元が聞く。 「11歳にございます」 源次郎が答え、平伏する。
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