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運動会当日。
「何だこの飾り…」
俺の目には小学校のような飾り付けが映ってきた。
『赤組、速いです!』と聞こえてきそうだ。
「あ、凉ー!」
康太が俺に気付き、3人が駆け寄ってくる。
「おはよう凉。今日頑張ろうね」
「優勝しようぜ!!」
「…凉…頑張ろ」
「当たり前だ」ナデナデ
「…ふみゅう」トローン
俺が頭を撫でると、綾は幸せそうに目を細める。
「開会式始まるわよ」グイグイ
「そうか。じゃあ行くか」
「…」ピトッ
「羨ましいよ山岡さん!!」
「黙りなさい」
「天下御免の運動会日和です!」
「「「いぇぇえええ!!!!!!」」」
ザビエルの前髪が無くなったような髪型の校長の声に、全校生徒が盛り上がる。
「……私の挨拶は以上です」
長い話が終わり、木山先生の元へ集まる1-3。
「今日は絶対に優勝するぞ!」
「「「イ”ェアアアア!!」」」
発狂する男子達。
「沢本。締めを頼みます」
何故に俺?
「あー…皆頑張「「「フォオオオオオ!!!!」」」
「絶対に勝「「「ラッシャアアアア!!!!」」」
(こいつらはもうダメだ)
俺は締めを終えて、綾の隣へ戻る。
「…格好…良かった」
「どこがだよ」
「…えと…ぜ、全部…」カアァ
答えになってないけど悪い気はしない。
「嬉しいぞ」ワシワシ
「…あう」マッカッカ
ピーンポーンパーンポーン
『2人3脚に参加する生徒は集まって下さい』
「行くぞお前ら!」
「「「イヤッホウウウ!!!!」」」
康太のかけ声で皆が集合場所に走って行く。
「綾。俺らも行くぞ」スッ
俺も立ち上がる。
「…うん」スッ
両手を前に差し出してくる。
抱っこせいと?
「綾。皆の前ではダメだ」
「…あう」シュン
落ち込んでしまった。
「…じゃあ…後でね?」
「ああ」
「…やった」ウキウキ
「よーい!スタート!!」
体育教師の合図と同時に1組目のランナー5ペアがスタートする。
俺達は6組目、綾達は15組目で走る。
「康太。足結ぶぞ」ンションショ
「分かった」
「…凉…頑張って」
「負けたら許さないわよ?」
「心配すんな。絶対1位になる」
「僕の相手は不良と弱小陸上部か。負ける気がしないね」
実際見てみると、確かに運動が出来そうなペアはその3組だけだった。
「ハッ、お前に俺らは抜かせないぜ」
「よく見てみればなかなかに良い顔じゃないか。まあ、勝つのは僕だけどね」
「ケッ、言ってろ」
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