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帰り道。康太が話しかけてくる。
「おい凉すげえじゃん!」
やけに目がキラキラしてるな。
「何がだ?」
「何がってお前さっきの俺の話聞いてなかったのか?」
さっきって言うと康太がシカトされたやつだな。
「ドンマイ康太」ポンポン
「ちげえそっちじゃねえ!いやそれもあるけど!慰めんな!肩を叩くなぁ!」
「じゃあ何だよ」
「俺やその他11人がシカトでお前だけ反応したって事だよ!」
「お前反応すらされなかったのか」プププ
「うるせえ笑うな!」
2人でギャアギャアやっているとゲーセンの建物が目に付いた。
「康太、ゲーセン行くか?」
「おう良いぜー」
「よし行くぞ」
その後一通り回り、最後に手のひらサイズくらいの猫のぬいぐるみが山のように詰まれているUFOキャッチャーに着いた。
今朝の猫みたいだな。
「これで最後だな」
「えーこれ欲しいのか?」
怪訝そうな顔をする康太に今朝の事を話す。
「これその猫に似てるんだよ」
「へえ 俺は興味無いから帰るぜー」
「おうじゃあな」
さてやりますか。
山から少しはみ出ている猫を狙い、アームを動かす。
「お いけるかな」
アームは狙った猫をしっかり掴んで上に上がる。すると、
ゴロゴロゴロゴロ
「うおっ!?」ビクッ
取った猫より上の猫が、土台を失って落ちてくる。
そして、
ポトッ
アームが猫を落とす。
戦利品:7個+1個(白猫)
「なんかすげえ取れた」ワクワク
7個を鞄にしまい、最後の1個をポンポンと放り上げながらゲーセンを出る。
「「あっ」」
ゲーセンから出た瞬間、あの少女が目に入る。
しかし、少女の視線は俺ではなく…
「…もしかして欲しい?」スッ
「…」コクコク
猫のぬいぐるみだった。
「ならやるよ」ハイ
「…あっ…」
なんか申し訳なさそうな顔してる。つか上目遣いとか反則だって。可愛すぎる。
「俺そこのゲーセンで大量に取れたから気にすんな」
「…!!」パアァ
嬉しそうだな。
「もっといるか?」
「…?」キョトン
「大量に取れたって言ったろ」
そう言って鞄を開け、中の猫を見せる(7個)。
「ほら」
「…!!」キラキラ
目をキラキラさせて、少し小ぶりな胸の前で手を握っている。
(マジで可愛い)
康太の気持ちがちょっと分かった気がする。
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