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あれからどのくらいの時間が経ったのでしょう。私は妙な息苦しさを感じて目を覚ましました。「じぃいいいいー」先程も皆様に申しました通り、私は唐突に起きる摩訶不思議異常事態を「,二秒」で受け入れてしまうという超人的キャパを備えているのです。ですから、鼻先一センチに見たこともない美少女の顔があったからといって、さして驚きはしないのです。この特技が羨望の眼差しをもってみられるべきものなのかどうかは置いておくことにして、この輝かんばかりの美少女は一体何者なのでしょう。なんだか、肢体が透けているように見えますが。もしかして、この御方もあの憎き誘拐犯に拐されてやって来た、悲劇的被害者の一人なのでしょうか。そうだとしたら、お仲間です。仲良くせねば。謂わば私たちは運命共同体なのですから。三人寄れば文殊の知恵、というではありませんか。実際には二人ですが、協力すれば脱出だって夢ではないやもしれません。「あのう…」私は極力愛想良く聞こえるように努力しながら目前(文字通り)の美少女に声をかけました。「あなた、お名m…」「あんた、誰よっ!!ふーちゃんと、どういう関係なのよ!?」こわい。美少女は涼やかな眼を釣り上げ、私を睨みつけて言いました。なるほど。人に名前を訊ねる時はまず自分から、という武士道精神(?)に基づいたツッコミというやつですね。きっと良家のお嬢様なのでしょう。「私の名m…」「ここはふーちゃんと私の秘密基地なのにい!!」私は唖然としてしまいました。二度もかぶせてくるとは、何事でしょう。てか、顔近い近い。ふーちゃんて、だれ?
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