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キィッ
「やっと見つけた…」
私は私達に背を向ける彼に言う
言わなければならない
「ごめんね。謝っても許されることじゃないのはわかってる…許さなくてもいいの……ただいなくなったりしないで」
彼は背を向けたまま言う。
「なにを言っているんだ。謝ることはない。お前が言ったのは事実であり真実さ」
彼は平淡な声で言う
「ちがうの!私はあんなこと思ってないの!!」
私は必死に訴える
「ハハハッ」
彼は笑う
また笑う
「なんで…なんで笑うの……」
私にはわからない
彼はいつも同じ顔をしていた
今もいつもの顔で笑っている
思い返すとその顔しか見たことがなかったかもしれない
彼の怒りや悲しみを見た覚えがない
「俺としては言葉に出されたことは真であり、言葉に出したということは少なくともお前は思ったことであるということ」
「どうだ?思ったことないか?俺がずれていると。俺が怖いということを」
彼は今までの笑みを消し言った
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