『小人はガリバーにはかなわない』――グラディア侵略戦

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「さて、無駄話をしている暇もないの。お主はさっさと緊急装置の検査でもしてこい」 へーい、とやる気のないような声をだし、サリドは検査用の階段を上った。 そして、2階から、それを見る。 ヒュロルフターム。 人間の技術の結晶、とも言われるそれは、堂々とそこに立っていた。 そのヒュロルフタームは、簡単にいえば、人型――もっとも人らしいカタチをとったものだった。 頭には鶏冠のようなものがついており、胸の当たりは鋭角に出っ張っていて、まるで鎧をつけた西洋の城の騎士にも見えた。 「……これが」 「そうじゃよ。これが『ヒュロルフターム・ワン』。クーチェじゃよ」 「これが、ヒュロルフターム……」 「さてさて、急いで整備せんとノータ様が来ちゃうぞよ」 「わったた。そうだった。急がなきゃー!」 そう言ってサリドはコックピットに向かった。 「……といってもコックピットってごてごての機械ばかりと思ったらそうでもないんだなー」 「……パイロットであるノータはここに入ってかんぜんに密閉された後、酸素を含んだ特殊な液体をここに入れられるの。それで私たちはヒュロルフタームとリンクするのよ」 「へえー。そうなのかー……」 そこまで言って、ふとサリドは気づいた。 「はっ……!? もしかして姫っ?!」 「……ちょっと試しに来たんだけど、まだ終わってなかったの?」 彼女はため息をついて、つまんなさそうに言った。
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