26人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ。す、すまない! いまから急いでやるから……!!」
そう言って、彼は緊急装置の整備に取り掛かった。
「あれ? でも緊急装置っていっても、コックピットは液体で満たされているんだよな? いったいどうやって脱出するんだ?」
「……それもわからないでヒュロルフタームの設計士目指すなんて。聞いて呆れるよね」
それを聞いてサリドはムッとするが、本当のことなので反論する気はない。
「はいはい。すいませんでした。で? 天下のノータ様は一体何をするんです?」
「バカにしてるでしょ?」
姫はサリドの発言に少しむっとなったが、気持ちを落ち着けるように深呼吸した。
「ま、いいわ。私これから試しに運転するからどいてて」
そう言って、彼女はコックピットに座る。
「さーてと、さっさと離れたほうがいいんじゃないかしら? 新米さん。その階段潰しちゃうかもよ?」
「げえええええ!! まじかよ!!」
その言葉を聞いて、大急ぎでサリドは降りようとする。
だが、
「うぐっ」
「?」
マイク越しに、そんな声が聞こえた。
それは明らかに、姫様の声で、しかも苦しんでいる声で。
「だ、大丈夫か!!」
叫んで、サリドはコックピットに向かう。
そこにはしまったシールドがあり、その半透明なシールドから
彼女の苦しそうな顔が見えた。
最初のコメントを投稿しよう!