『小人はガリバーにはかなわない』――グラディア侵略戦

11/50
前へ
/463ページ
次へ
「あ。す、すまない! いまから急いでやるから……!!」 そう言って、彼は緊急装置の整備に取り掛かった。 「あれ? でも緊急装置っていっても、コックピットは液体で満たされているんだよな? いったいどうやって脱出するんだ?」 「……それもわからないでヒュロルフタームの設計士目指すなんて。聞いて呆れるよね」 それを聞いてサリドはムッとするが、本当のことなので反論する気はない。 「はいはい。すいませんでした。で? 天下のノータ様は一体何をするんです?」 「バカにしてるでしょ?」 姫はサリドの発言に少しむっとなったが、気持ちを落ち着けるように深呼吸した。 「ま、いいわ。私これから試しに運転するからどいてて」 そう言って、彼女はコックピットに座る。 「さーてと、さっさと離れたほうがいいんじゃないかしら? 新米さん。その階段潰しちゃうかもよ?」 「げえええええ!! まじかよ!!」 その言葉を聞いて、大急ぎでサリドは降りようとする。 だが、 「うぐっ」 「?」 マイク越しに、そんな声が聞こえた。 それは明らかに、姫様の声で、しかも苦しんでいる声で。 「だ、大丈夫か!!」 叫んで、サリドはコックピットに向かう。 そこにはしまったシールドがあり、その半透明なシールドから 彼女の苦しそうな顔が見えた。
/463ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加