『小人はガリバーにはかなわない』――グラディア侵略戦

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「なにをしとる。このバカモン!」 気付くとスタスタとあのおばあさんが階段を登って、ここまで来ていた。 「……なんか、急に苦しくなったらしくて」 「そんなわけあるか。コックピットに液体は満たされているんじゃ。他の理由があるに決まっておろう!!」 「そ、そうだよな……」 「にしてもだ。我々がそこを開けるのは難しい」 「へ?」 おばあさんから返ってきた予想外の返事にサリドは目を丸めた。 「……なにもわかっておらんのか? そこにあるヒュロルフタームは殆どが鉄板を何枚も重ねて作ってある。だがな、ただひとつだけ違う」 一息。 「その、コックピットじゃよ。そこだけはオリハルコンとかいう金属で作ってある」 「ああ。……流した電流によって金属の分子構造を変化させて強度を増やした最強の金属、とやらですか」 サリドは教科書の受け売りのように話す。 サリドの言う通り、オリハルコン――というのはなにも力を加えない状態だと液体なのだが、そこに電流を通すと核兵器すらも耐えうる屈強なものへとなるものだ。 「まあ、要するにこれを力でどうこうするのは無理じゃ」 コックピットを叩いて、おばあさんは言った。 「じゃあ、どうすれば……!!」 「慌てるな。若いの。わしが今からある装置を持ってくる。コックピットに流れている電流と逆向きの電流を流して、コックピットを一時的に流体にする。それなら彼女は助けられるよ」 そう言って、おばあさんはおばあさんとは呼べぬほどの速さで走って消えた。
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