『小人はガリバーにはかなわない』――グラディア侵略戦

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「今日も平和だなあ……」 と薄い緑の迷彩服に身を包んだサリドという黒髪の少年は、背伸びをしながら、言った。 「……おーい。さぼるなよ。サリド」 隣でしゃがんでせっせと草をむしっている男は言った。 金髪で、無精髭を顎に生やしたその男はラッキーストライクのタバコでもくわえて、黒いサングラスをかけている方が、よっぽど似合う気がした。 だがしかしその男はあろうことか(というのはとても失礼だが)サリドと同い年の16歳。未成年である。 少年の名は、グラムという。 「わかったよグラム。でもね。俺は朝の背筋伸ばしをしないと一日が始まらないんだよ」 「よく言って。そんなことを30分もやってるくせにか?」 グラムは皮肉るようにサリドを笑った。
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