トンネル

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トンネルの奥に出口の光が薄く見えはじめると、アンラッキーが小さく指を鳴らして俺の注意をひいた。 手の中に収まるくらいの大きさをした小型ピストルをアンラッキーは自分のポケットから出して俺に示したが、俺は首を横に振った。 駄目だ、と声を殺していうと、アンラッキーは小型ピストルをしまってシートにもたれた。 薄暗いトンネルを長い時間バスに揺られたせいか、数百メートル先の出口から差し込む光の帯が、その先に本当に自由があるのではないかと錯覚させる。
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