終わりに向かう始まりの物語

9/9
前へ
/83ページ
次へ
虚ろな意識だが目を少し開き辺りを見渡す。 どうやらあの子供は助かったようだ。保護者らしき人に寄り沿って泣いている。 それと同時にサイレンの音が近づいてくる。多分パトカーと救急車の音だろう。 特にパトカーの人は驚くだろうな。さっき警察署で自殺しようとしたわたしにまた会うのだから。 少しずつだが意識が遠退いていく。 これが死か。 だけどこれから死ぬのにわたしは心の中で呟いた。 死ぬのってとてもつまらない。 星中 春紫苑。 18歳。 わたしは死んだ。 ……………死んだはずだった。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加