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「──そなたに、江戸におわす上州館林宰相・徳川綱吉殿に嫁せとの打診がきておる」
京の鷹司邸の一室で、父・教平から告げられた小石君は、思わず目を丸くした。
関白や太政大臣を排出する公家・五摂家の1つである鷹司家の長女として生まれて早13年。
小石君にとって、これほど衝撃的な出来事はなかった。
「……江戸…つまりは関東に輿入れあそばせと、そう言わしゃるのですね?」
小石君は事実が受け入れられなかったのか、再度確認をとってみる。
「そうや。関東の、名のあるお武家さんに嫁げということや」
訊ねてみたものの、やはり訊くのではなかったと姫は酷く後悔した。
「何故ですやろ? 何故にうちが荒武者共のはびこる関東へなど参らねばならぬのです !?」
後悔と一緒になって湧き出た疑問を、小石君は躊躇うこともなく父に問った。
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