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松江の女 10 出雲大社へ行くと、カップルが多かった。 何でも、縁結びの神様らしい。 本殿に参拝して、二人は手を合わせた。 「何を祈願してたんだい?」 「あら、内緒よ」 「教えてくれてもいいじゃないか」 「だめよ。黒住さんは何をお願いしたの?」 「明子がこれからも幸福でありますように」 「本当?うれしいわ」 彼女は組んでいた腕にギュッと力を入れた。 腕を組むのは心地よいものだと、その時改めて感じた。 出雲から日御碕へ向かった。 海岸沿いにタクシーは走り、まもなく白い灯台が見えて来た。
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