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松江の女 11 灯台のらせん階段を昇り、展望室へ上がった。 らせん階段を昇る途中、この灯台から飛び降り自殺する人がいると聞いた。 こんなきれいな砂浜や海を目の前にして、自殺する人の想いはどうなのであろうか。 灯台を降りると、いかやさざえを焼いている店が並んでいた。 私と明子はいか焼きを買った。 番台の上に座り、いか焼きを食べた。 「おいしいわ」 彼女は本当においしそうだった。 いかは取れたてで、柔らかくおいしかった。 「私達、新婚旅行みたいね」 「そうだね。新婚旅行の予行演習をしておいてもいいだろう」 「ええ。黒住さんは結婚しないの?」 「しようと思った時はあった。でも、うまく行かなかった。今となっては、もう遅すぎる」 「そんなことはないわ。私が結婚してあげようか?」 「冗談だろう」 私は彼女の真意を計りかねていた。 私は彼女の顔を見つめた。 しかし、その表情からは何も知ることは出来なかった。
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