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親父が死んだ…。
と言っても既に一週間も前の話だが。
小さな頃から殆ど家には寄り付かず、顔も写真以外では曖昧にしか覚えていない。
寄り付かないと言っても悪い意味でなく"仕事"が忙しい、だとか。
小さな頃は納得いかなかったが、金銭感覚が付いてくると家族五人が普通に暮らしていけるだけの金を稼ぐ事の難しさは分かってくる。
親父は一人、海外で"仕事"をしながら毎月多額の金を送ってくれていた。
そんな親父が居なくなった、だからと言って金に困る様な事はない。母さんが四年前に亡くなって、その保険金がかなりの額だった事。そして親父が多額の遺産を残していた事。
俺達、姉弟(兄妹)が苦労なく生活できて、三人共が大学を卒業しても尚余るくらいだ。親父は天涯孤独だったし、母さんはそんな親父と駆け落ち同然に結婚した為に勘当されていた。そんな状況だった為、遺産争い、なんて事象も起きる事なく"すんなり"と俺達が引き継ぐ事となった。
かと言って顔も覚えていない親父の金に頼りきりになるのが嫌でいつもはバイトをしているのだが…店長が今回の親父の事で気を使って暫く休みをくれていた。
お陰で放課後にする事もなく、こうしてボーっとしてたりする。
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