遠い、遠い、笑えない話。2

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―私は本当に、幸せ者だって思う。 あんたのおかげだよ。 私は、演劇部だった。 私が3年の時、 新入部員は1人だった。 元気のある、可愛い子だった。 私が卒業するころには、 その子とはとても 仲良くなっていた。 高校に入学して、 遊ぶ回数がなぜか増えた。 そしてあの子は、 少しずつ変わっていった。 バイトを始めたと報告したら、 あの子は泣いた。 『会う回数減っちゃうの嫌』って。 嬉しかった。 そこまで大切にされてるんだ、って。 しかもこの子に。 「ちゃんと月1で日曜空けるし、 平日なら会えるから安心しなさい」 そういってあの子を説得し、 納得させた。 腑におちないみたいだったけど。 ある時、あの子が 私のバイト先にきた。 『えへへ、会いにきちゃった』 少し頬を赤らめて、 可愛い笑顔を見せた。 なんかこういう状況は初めてで、 なんか恥ずかしくて。 「用ないなら早く帰りなさい」 早口に、そっけなく言ってしまった。 『あ、邪魔だったかな?ごめんね』 って、また微笑みながら。 その笑顔の裏で 傷ついてる事に、 私は気づいて あげられなかった。 あの子からのメールに 『ごめんね』って言葉が増えた。 心配で聞いてみたら、 あの子の何かがはじけたように、 泣きながら、言いだした。 『ごめんなさい。 貴女に出会ってしまった事。 ごめんなさい。 貴女と仲良くなってしまった事。 ごめんなさい。 貴女を好きになってしまった事。 ごめんなさい。 貴女を縛ってしまった事。 ごめんなさい。 貴女と私が同性だという事。 ごめんなさい。 それでも好きなのを やめられない事。 ごめんなさい。 大好きです。 ごめんなさい。 愛してます。 ごめんなさい。 これからも、好きでいていいですか?』 嬉しかったよ。 歯止めが効かなくなる位、 私を愛してくれたなんて。 「あんたがどんなに縛ってきても、 どんなに好きと言っても、 大丈夫よ。 私もあんた自身が好きだから」 本心を言った。 あの子の事だから、 涙までだして喜んだんだろうな。
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