遠い、遠い、笑えない話。2

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ああ、この子はわかってないな。 ずっと、一人だったんだもんね。 伝えよう。 伝えたい。 「私もあんたが好きだって言ったでしょーが」 あの子の表情は驚きに。 「だから安心しなさい」 あの子の表情は不思議そうに。 「あんたが望むなら、 なんでもしてあげるから」 あの子の表情は変わらないまま。 「あんたは私の特別だよ」 あの子の表情は驚きに。 「あんたを嫌いになんか ならないから」 あの子の表情は泣き顔に。 「怒ってないから」 あの子の顔がどんどん 涙でぐしゃぐしゃに。 「許すから」 あの子は頑張って、 歯止めを利かせようと 唇をかみしめる。 「私だって、あんたの事 大好きだよ」 あの子は鼻を ずるずるならせながら。 「だから」 あの子は、 もう止められない涙を拭う。 「泣かないの。」 『う、うわあああああんっ』 あの子の中で何かがはじけた。 「…泣くなら、いつまでも この胸かしてあげるから」 『ううっ、っく、 わあああああああああんっ』 「ずっと一緒にいてあげるから」 『うわああんっ、ごめ、なさ… ごめんなさ…い…っ』 …謝るのは、こっちだよ… 「うん。大丈夫よ」 『あ、なたの…っこと…っく …大好き…ですっ…っく』 「うん。うん。私もだよ。」
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