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広く、どこまであるのか
分からない部屋を走り去る君。
――僕の手をもぎ、
走り去る君を見ていたんだけど。
とれた、ってちょっと
誇らしげなあの顔。
うざったい。
――つまらないから
歩いて君の背後により、足を上げる。
――余った足で
その背を踏みつぶした。
『ぐぁっ…!!』
倒れこむ君。
痛みを感じる君は、
背中の激痛に顔をゆがませる。
ああ、可愛いな。
こういう顔が好きなんだ。
――痛みに歪むその顔が、
可愛くて、可愛くて。
痛みが落ち着いてきたのか、
顔の歪みが治ってくる。
それが気に食わなくて、
踵を背中にぐりぐりと
押しつける。
『うぐっ!!――っく!!』
再び痛みに歪む顔。
――何度も君を君を傷つける。
「せっかく可愛い声
出してんだからさ、」
「止めないでよ」
歪む顔を見ながら、ふと思う。
――なにがどうして
アレがコウして
こうなった。
どうなった?
いつの間に、この空間は
こんな世界になったんだろう。
最初はもっといっぱい
“僕”がいたんだ。
コイツだけじゃなくて、
たくさん、たくさん。
『…っ!や、』
『止めて。』
やっと声を出したかと思えば、
そんなことを…
「うるさいな、
どうだっていいだろ?
黙って従え。
だって君は、“僕”だろ?」
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