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「そうね、一から教えてあげますよ。」
「わあ!」
小春が、また甲高い歓声を上げた。
貧しい山中家では、新しい着物など、たとえ一生のうちでも、そう何度も仕立てることが出来ない。
ボロボロに擦り切れてしまうまで、何度も何度も仕立て直して着回すことになる。
ところが育ち盛りの小春は、毎年背丈が変わってしまうのだ。
けれど、新しい着物など、とても仕立ててあげられない。
それなら、
せめて綺麗に作り直した物を着させてあげたい
なみは、そう思うのだ。
「さ、入りましょ。」
「うん!」
佳代が促し、皆が土間に足を向けた。
尼子勝久が、出雲国を脱出すると、佳代も一緒に行動してきた。
だが、一同が敦賀港から上陸すると、そこで皆と別れて、一路なみ達の庵を目指したのだ。
女子の一人旅は危険ですぞ
玄蕃は随分気を揉んだが、佳代は、元々鉢屋の末裔なのだ。
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