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お母さんはこどもみたいに、その男にすがった。 「離れたくない離れたくない」と。 「お母さんである前に女だから」そのよく耳にするセリフを思い出し、実感した。 私は必死にお母さんを気遣った。 毎日泣いているお母さんを見ると、家庭が崩壊しかけたこともどうでもよくなるくらい心配だった。 少しでもお母さんの力になれればって影ながら努力してるつもりだった。 でもへんなところで恥ずかしがりやな私は、あからさまな努力はできなかった。 それが、お母さんの目にはよく映ってなかった。 母「ママがいつもこうやって悲しんでるのにあんたは何もしてくれないんだね、冷たい子だね」 冷たい子 周りにそう言われはじめた。 ばあちゃんやおばさんから直接聞いたわけじゃないけど お母さんに「ばあちゃんやおばさんもそう言ってたわ」 って言われた。 がんばってるのに。
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