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いけすかない。
何かもかもが目障りで吐き気がする。
何で俺はこんな寂れた倉庫の中で悪人面した奴等に囲まれているんだ。
「チッ、………」
人の数は50程居るのに静かな倉庫には俺の舌打ちが響く。
反響してくる音にもう一度舌打ちを打ち顔を上げた。
「あんた等、何の用?クソ怠いんだけど」
取り囲むように円になっている集団の俺の真正面。
暗闇で鈍色に光る金髪と赤い瞳。
他にも色々な色が混在しているこの場所は色鉛筆が全色揃ってもおかしくないくらいに様々な色彩に溢れている。
重々しい空気。
息が詰まりそう。
「獅童香(シドウコウ)。俺のチームに入れ」
金髪が発した声は低くバリトンで男の色気が滲み出ている。
女ならイチコロだな。
羨ましい。
「俺のチーム、ねぇ」
「そうだ」
自信ありげな雰囲気が嫌に障るな。どーこで俺の名前を知ったのかな?参謀さんからの情報ですかぁ?
「ご遠慮しようかな」
「何故?」
答えた瞬間にピクリと硬質化した金髪の空気。
「あんたのチームに入ってもメリットがねぇ。自分に利益がないところに望んで行こうとは思わないね」
「利益ならある。こっちでわかる全ての情報を随時やる。それなら構わねぇだろ」情報ねぇ。情報はココじゃ大切なものだけどそんなの提供してもらわなくても自然に入ってくるから必要ない。
本当に便利だよ、兄弟に情報が強いやつがいるって。
「全然わかってねぇ。俺にそんなもんは必要ない。情報なんか直ぐに手に入る。それに、俺はそんなものより欲しいものあるし」
「欲しいもの?」
何で俺は50ものむさい男に囲まれてこんなことを話しているのだろうか?
つーか、何で聞かれてる?
「そんなことどうでもいいから。もう帰っていい?」
「「「「「「「「「「「「ダメ」」」」」」」」」」」
必死に言っても可愛くないよ。
縋るような目が犬のようでちょっとキュンときたけどこんなのきっと気のせいの勘違いだ。絶対に気のせいだ。
「香」
「んぁ?」
い、いきなり呼び捨てっすか。
初対面なのに図々しい。
「香、絶対にダメなのか?」
近づいてきて良く顔が見えるようになった金髪は見惚れる程の美形。りりしい眉に切れ長の目、薄い唇の男前さんだった。
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