124人が本棚に入れています
本棚に追加
声だけじゃなくて顔もいいなんて詐欺だろ。
それが今、眉は寄り泣きそうな情けない顔になっている。
クイっと服の裾を引っ張られ捨てられそうな犬みたいな目で見つめられると何か気まずいんだけど。
「どうして俺がチームに欲しいんだ?」
どこにでもいるような平凡面を参謀に探させる意味は何だ?
「………………惚れたから」
「あ?」
照れ臭そうに目元を染めて俯いた金髪。外見にミスマッチな反応に普段だったら笑ってしまう光景だがいかんせん、雰囲気がそうさせない。
張り詰めた、やり合うときとはまた違うその雰囲気。
目の前の奴からはピンクのオーラが滲み出ているような錯覚までする。
「本気か?」
その理由でチームに入れたいのか?
「ほ、本気!」
ギュっと服を握る手の力を強くしてまっすぐに見てくる目には嘘偽りはなかった。
世間一般には美形で格好よく女の子にも凄くモテそうな人が平凡な男に恋心を抱いている。
しかも強そうで俺様のような見た目に反して犬のような仕草。
これを見たらきっとうちの腐女子のお姉様は目を輝かせて叫ぶだろう。
頭の片隅でそんなことを考えながらも視線は目の前の金髪へ。
……なんか犬にしか見えなくなってきた。
あるわけがない耳も尻尾も伏せられソワソワとしている。
うん。犬だな。
そっと手を伸ばして自分より高い位置にある金髪の頭に触れる。
染めて痛んでるんじゃないかと思ったそれは意外に触り心地がよくてサラサラと指の間を流れる。
「?」
最初のコメントを投稿しよう!