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「………今年の新入生は随分大胆だなぁ」
「あー、……。先輩、すいません。俺…」
「い、いやっ!ううん!!大丈夫だよ!」
「よかったな、矢野。お気に入りの新入生君にキスされて」
「っちょ、からかうなよ柳井!」
柳井先輩はニヤニヤと笑い矢野先輩を囃し立ている。
これはもしかしなくても俺が悪いんだろうな。
「本当にごめんなさい。なんていうか癖で………」
「癖、かぁ。キスが癖なんてよっぽと経験があるか女を切らせたことがないか。いや、男ってこともあるよな」
ふふ、と笑う柳井先輩の視線が今度は俺に向いてしまった。
「いや、男の経験はありませんって!!いや、うん。女の子ともあんま付き合ったことないし!」
キス以上はないよ、、、、。
ていうか入学式前にこんなことを聞かれるとは思いもしないだろ。にしても、矢野先輩って男にしては可愛いよな。女の子みたいな顔してるし。…………って何考えてんだ俺は!!
「柳井!失礼だよ、いきなり。君も大丈夫だから。俺気にしてないし」
へへへ、と頬を桜色にして笑う矢野先輩は年上とは思えないくらいに愛らしかった。
「はい」
思わず頬が緩んでしまう。
「…………顔は普通でどっちかっていうと格好いい寄りなのに笑うとそれなりに可愛いだな、お前」
ふーん、とジロジロ見てくる柳井先輩に瞬きを数回してギョッと目を開いた。
可愛いなんて言われたことないんだけど………。
「名前は?なんていうの?」
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