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蝉
夏の五月蝿い朝
私たちは動き始める
庭の大木の幹
私たちはしがみ続ける
愛しき人を探すため
羽音響かせ、いつか会える
夢 求めるだけなのに
厭だ厭だ厭だ
私は未だ堕ちたくない
この夏は未だ始まったばかり
私は未だ鳴いていたい
我が儘な私を見逃して頂戴…
「明日ハ我ガ身」
嗚呼…
周りの羽音既に止み
何時の間にか秋の空気
漂い始め、目が霞む
厭だ厭だ厭だ
私は未だ散りたくない
この空を未だ覚えてはいない
私は未だ探していたい
厭だ厭だ厭だ!
私は未だ堕ちたくない
この夏に慣れ始めたのに
私は未だ鳴いていたい
我が儘な私を連れて行かないで
見逃して頂戴…!
「明日ハ我ガ身」
嗚呼…
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