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始祖の隷長を撃退し、帰還する準備が進められるなか、ヴェルはダングレストの手前に来ていた。
ヴェル「………。」
いくつかある橋のひとつは砲撃によって破壊されたので、今帝国との友好に反対する声が大きいことを聞いた。
その為、ヴェルはダングレストには入らないことにしたのだ。
しばらくダングレストの方を見ていたが、
ヴェル「あなたはなにをしてるんですか?デューク。」
と言って振り返った。
そこには、銀髪の男性―デュークが立っていた。
デュークは無表情のまま
デューク「お前は今までなにをしていた。」
と聞いてきた。
ヴェル「別に。なにもしてない。」
デューク「お前は己の使命を分かっているのか?」
ヴェル「……ああ。分かっているさ。」
とそう答えると、デュークは眉をひそめて
デューク「ではなぜ、始祖の隷長が攻撃されているのを知りながら守ろうとしなかった。隷長を守りし者(ガーディアン)の使命を知っているならば……」
と言いかけた時、ヴェルは氷のような目でデュークを睨み付けた。
ヴェル「黙れ。確かに俺は混血だけど隷長を守りし者だ。でも、あなたが人間を憎むように、俺は始祖の隷長が憎いんだよ。」
と言い放つと、デュークは
デューク「お前がそう言うなら私はそのことについて、もうなにも言わない。しかし、私は始祖の隷長を捨てた隷長を守りし者を侮蔑しよう。」
と言って去っていった。
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