2.5章 闇夜に潜むもの

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  ラゴウが自分の立場を利用して罪を軽くした。 カロルからそう聞かされて、ユーリはラゴウの元に向かっていた。 法で裁けないのなら、人の手で裁く そう思ってユーリは宿屋から出ていった。 ラゴウは部下と共に橋を渡って逃げようとしていた。 ユーリ〔ったく……。もう自分を支持する奴がいなくなったから逃げようって訳か。〕 と思いつつ、ユーリが一歩前に出ようとした時、 ?「凍てつく牙の餌食となれ……アイスラッシャー!」 どこからか詠唱する声が聞こえたかと思うと、ラゴウに付き添っていた部下に地面から突如現れた氷の刃が突き刺さった。 ユーリ「!?」 ラゴウ「な、何事です!?」 と突然の出来事に驚くユーリ。 そして、突然の出来事にうろたえるラゴウ。 すると、ユーリがいる場所から少し橋に近いところの建物の影からゆっくりと誰かが出てきて、ラゴウに近寄っていった。 その者は黒い装束をまとい、顔はほとんど見ることができなかった。 ラゴウ「あ、あなた何者ですか!?私に手を出す気ですか!?私は評議会の人間ですよ!あなたなど簡単に潰せるのです。無事では、す、すみませんよ」 とラゴウはその者に気付き虚勢を張りながらわめいていた。 ユーリ〔あれは……ギルドの人間か?なんか俺らが見てきたギルドの奴とはずいぶんと違うけどな。〕 とユーリはラゴウとその者のやり取りに耳を傾けることにした。 その者はそれを気にした様子もなく、ゆっくりとラゴウに近付く。 ついにラゴウは完全に追い詰められ足が竦んでいた。 その者は腰に装備されている双剣に手をかけながら ?「ラゴウ。お前はもう用済みになったんだよ。」 ユーリ〔用済み……?ラゴウの後ろにまだ誰かいるってことか?〕 とその者―男(声が低めだから)が言い放った言葉に疑問符を浮かべるユーリ ラゴウ「ひぃ、く、来るな!」 その間に完全に恐怖に囚われ、ラゴウは悲鳴を上げる。 そして、咄嗟に逃げ出すラゴウを ザシュ 背後から斬った。 ラゴウ「ぐっ・・・あと少しで、宙の戒典をぉ・・・」 とラゴウはそんな意味あり気な言葉を残して、重力に逆らわずに川へと落ちていった。  
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