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男はラゴウが落ちていった場所をしばらく見つめていたが、やがてそこから視線を外し、ユーリの方を向いた。
ユーリは隠れている訳ではなかったので、男はすぐにユーリがいることに気付いたようだ。
?「ユーリ・ローウェル……。」
どうやら男はユーリのことを知っているようで、小さくユーリの名前を呟いた。
ユーリ「〔まっ、エステル攫ったとかで手配書が出回っていたからな。〕ずいぶん俺の名前も有名になってるみたいだな。……ところで」
と苦笑を浮かべて言ってから、表情を引き締めて一気に間合いをつめてきた。
金属のぶつかり合う音があたりに響く。
ユーリ「さっきのセリフの意味、俺にも教えてほしいな。」
?「断る、と言ったら?」
ユーリ「なら、聞き出すだけだ!」
とユーリはそう言い、技を繰り出した。
男はその攻撃をよけたり、受け流していてあまりダメージを受けているようには見えなかった。
ユーリ〔こいつ……かなりの腕なのかもしれないな。〕
と思案していると、唯一装束の隙間から見えていた翡翠色の瞳が冷たいものに変わったかと思うと、
?「凍牙斬・双牙……!」
ユーリ「っあ!!」
と1回目の冷気をまとまった衝撃波でユーリの剣がを弾き飛ばされて、2回目の衝撃波がユーリに当たって、少し後ろに下がった。
男はその隙に詠唱をし始めた。
?「冷酷なる風よ、今ここに……」
ユーリ〔しまった……!〕
?「アイストルネード!」
ユーリ「--ー!?」
アイストルネードはユーリに直撃し、ユーリは橋の壁に叩きつけられた。
ユーリ〔くそ……。ドジっちまった……。〕
ユーリはそのまま意識を手放した。
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