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「右京。私はこっちよ」
不意に頬に冷たいものが触れたと思うと、そこに加わった力がぐいっと顔を無理矢理捻る。
すると、まっすぐ俺を見つめるみちるちゃんの顔が飛び込んできた。
「つ……つめたっ!みちるちゃん、手っ!冷たい!!」
頬に触れたのは、氷のように冷えきったみちるちゃんの小さな手で。
自分の手を覆い重ね、温もりを分けながら視線を上げると、かち合ったそれにみちるちゃんはふっと目を細めた。
「やっと私を見た」
その言葉と表情に、甘い痛みがギュッと胸を締め付ける。
「待ってたの、右京のこと」
ゆっくりと頬から滑り落ちていく彼女の手。
まだ冷たいのを言い訳にして、離さずに握り締める。
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