恋の痛み

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  もうさっきから30分程、家の前でうろうろしている俺は、知らない人が見れば不審者以外の何者でもないんだろう。 「うーむ……」 少し遅く帰って来て、と言った清吾の“少し”って…… 一体どれくらいなんだろう。 唸りながらそう悩んでは、玄関のドアを開けられずにいる。 だって、怒られたらやだし。 「それにしたって」 2階の清吾の部屋を見上げながらそう呟く。 何の為なのか、すっかりその理由を聞くのを忘れていた。 もしかして、女の子を連れ込んでるとか。 あの堅物の清吾に限って、まさかそんな。 いや、でも、そういうお年頃だし…… 心の中で一人、悶々と自問自答を繰り返す。  
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