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「みちるちゃんっ!」
形振り構わず家の外へと飛び出し、辺りを見回して見つけたみちるちゃんの背中を呼び止め、追い掛けた。
「みちるちゃん」
すたすたと歩みを進める彼女になんとか追い付いて、それを阻むように肩に手を掛け、もう一度呼び掛ける。
「何よ」
振り返りざま、みちるちゃんは煩わしそうに肩の手を払いのけ、俺を睨み上げた。
正直、泣いているかと思った。
それに、もっと拒まれたり、逃げられたりするのかと。
……だけど、目の前に居る彼女はいつもとなんら変わりない。
勝ち気で、気丈で、不機嫌そうな瞳。
内心でホッと胸を撫で下ろす。
「……ごめん」
情けないけれど、他に上手く言葉を見つけられない。
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