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「みちるちゃんっ!」
宇佐美の隣に並んで、何も言わず、目すら合わさず背中を向ける彼女を、気が付けば俺は必死に呼び止めていた。
わずかな望みを捨てきれず、その背中を縋るように見つめていると、願いが通じたのか、彼女は肩越しにほんの少しだけこちらを振り返った。
「……みちるちゃん、ごめん。さっきの……約束出来そうにない」
『もうこれ以上、私に構わないで』
そう言った彼女の声が頭の中に蘇り響いて、ズキズキと胸が痛み出す。
「冷たくあしらわれても、どんなに嫌われても、多分俺は、馬鹿みたいに何度も君に会いに行く」
分かった、なんて聞き分けのいい振りをして、諦めるなんて出来る訳がない。
格好悪くたっていい。
この気持ちにだけは、正直でいたい。
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