不機嫌なあの子

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  「まぁ、だからって……」 何も特別な事じゃない。 女の子を可愛いと思うのなんて、いつもの事だ。 俺は彼女に抱いた感情を、特に疑う事も、気に留める事もせず、日常茶飯事のひとくくりに纏めた。 「なぁに、大きな独り言」 くすくすとからかうような笑い声がして、俺はいつものように隣に女の子が居る事を思い出した。 あはは、と笑って見せて、ぼんやりしていた事を誤魔化すと、その子はせがむような瞳で俺を見上げた。 ……あぁ、はいはい。 そんな、義務感にも似た思いで、事務的にキスを落とす。 軽く啄むようなキスに、女の子は物足りなさそうに体を捩った。  
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