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「くだらない」
そしてニヤつく俺に、清吾は冷笑を添えて吐き捨てるように言った。
「そう?恋ってなかなかいいもんだよ。勿論、楽しいだけじゃないけどね」
ただ綺麗な感情だけがそこにあるわけではなくて。
上手く伝えられないもどかしさや、傷付けてしまった事への後悔、醜い嫉妬だってある。
“愛しい”は時に苦しくて、でもだからこそ、小さな幸せを噛み締める事が出来るんだろう。
「清ちゃんにも、そのうち分かる日が来るよ」
そうであって欲しいと願いながら、にっこりと笑う。
「別に……興味ないし、分かりたくもない。まぁ、せいぜい頑張ってよ」
俺のささやかな願いは突っぱねるようにして、気のないエールを残し、清吾はリビングを去って行ってしまった。
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