恋の痛み

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  あれから数日が経った。 屋上の前の踊り場に座り込んで、相も変わらず健気にみちるちゃんを待ち伏せするも、彼女はその数日間に一度も姿を現さなかった。 それとなく清吾に探りを入れても、知らぬ存ぜぬの一点張りで、冷たくあしらわれて終わる。 やっぱりこないだの失態が原因で、今度こそ本当に、顔も見たくないと思うくらい、愛想を尽かされてしまったのかもしれない。 そんな事を考える度、さあっと血の気が引いて、浅はかだった自分を呪う。 とは言え、原因が分からない以上、一人で思い悩んでへこんでいても仕方がない。 その辺は無駄に前向きな思考の俺だから、とにかく本人に会って確めなくちゃ、といつも以上に“みちるちゃんセンサー”を鋭く働かせて彼女の姿を探した。 「ダメだ、全っ然会えない」 机に突っ伏すと同時に上げた悲観に暮れた叫びも、あまりに大きな溜め息に、いとも簡単に掻き消されてしまう。  
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