14261人が本棚に入れています
本棚に追加
「どしたの、うっきょん。冴えない顔もしちゃって」
机を挟んだ向こうから、ひょっこりと鼻から上だけを覗かせた槙が、目をしばたたかせて尋ねてきた。
「……別に。槙には関係ない」
呑気な槙の顔をひと睨みして、ふいと顔を背ける。
「あー、そんな事言っちゃう?せーっかくいい事教えてあげようと思ったのに」
そう言われ、ちらりと視線だけを槙に向ける。
だけど、槙の言う“いい事”なんて、十中八九くだらないに決まってる。
「どうせ大した事じゃないだろ」
視線を戻し、拗ねたように唇を尖らせる。
「確かに大した事じゃないかもね。うっきょんが追い掛けてるあの子の事なんて」
そんな俺の態度にへそを曲げた槙は、負けじとふて腐れてそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!