恋の痛み

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「どしたの、うっきょん。冴えない顔もしちゃって」 机を挟んだ向こうから、ひょっこりと鼻から上だけを覗かせた槙が、目をしばたたかせて尋ねてきた。 「……別に。槙には関係ない」 呑気な槙の顔をひと睨みして、ふいと顔を背ける。 「あー、そんな事言っちゃう?せーっかくいい事教えてあげようと思ったのに」 そう言われ、ちらりと視線だけを槙に向ける。 だけど、槙の言う“いい事”なんて、十中八九くだらないに決まってる。 「どうせ大した事じゃないだろ」 視線を戻し、拗ねたように唇を尖らせる。 「確かに大した事じゃないかもね。うっきょんが追い掛けてるあの子の事なんて」 そんな俺の態度にへそを曲げた槙は、負けじとふて腐れてそう言った。  
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