恋の痛み

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ほら。 やっぱり、大した事ない…… って、え? 「それって、みちるちゃんの事!?」 得た情報を脳が理解するまでに少し時間を要したものの、その瞬間には目を見開いて、すごい勢いで立ち上がり、槙に詰め寄っていた。 「そ、そんな名前だった……よね、確か」 「みちるちゃんが、何っ!?」 あまりの勢いに驚いて仰け反った槙が、小刻みに頷くと、俺は無意識のうちに乱暴にその胸ぐらを掴んで揺らし、続きを急かした。 「ちょっ、うっきょん!苦し……」 槙は本当に苦しそうに顔をしかめながら、胸ぐらを掴む俺の手を必死に叩いて、離すようせがむ。 「ごめん」 はっと我に返って両手を広げると、開放された槙は少しよろめきながら、目をぱちくりさせて俺を見返した。  
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