恋の痛み

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「あはっ、右京が謝るなんて珍しー」 本来なら怒ってもおかしくないところを、何故か槙は笑い飛ばすから、調子が狂ってしまう。 槙の、あくまでも能天気なところには、いつも何だかんだで救われっぱなしだ。 「……で、みちるちゃんがどうしたの」 なんとなく残った気恥ずかしさを、小さく咳払いをして振り払い尋ねる。 「あー、そうそう。さっき中庭で見掛けたんだ」 それを聞いた瞬間にはもう、走り出していたと思う。 みちるちゃんに会える、とただその一心で。 「ただ、女の子に囲まれて、ちょっとヤバそうな雰囲気だったけど……って、右京?」 後に続く、何やら不穏な言葉も待たずに。  
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