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正直、こういうのは求めていないし、面倒臭い。
だって、全然カラフルじゃない。
例えるなら、纏わり付くような黒味を帯びた深い赤。
ねちっこいその色は、“欲望”という名にぴったりだ。
求めることこそ違うけれど、同じ“欲望”に変わりはないのに、触れても重なっても、俺の心は1ミリたりとも満たされない。
その色を、受け入れられない。
「ね、右京」
いつしか女の子は俺の片膝を跨いでいて、互いの顔の距離を縮めるべく、じりじりと詰め寄ってくる。
その近さに、甘過ぎる香りが鼻について吐きそうになる。
最近の女の子って、ダイタン……
テレビを見ているような感覚でそう思いながら、自然と体は後ろに反り返っていた。
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