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「行きましょ」
渡瀬さんは表情を隠すように俯いて素早く体を翻すと、まだ戸惑っている他の女の子達をそう促す。
すると、女の子達は定まらない視線を時々こちらへ向けながら、おずおずと彼女の後に続いた。
小さくなっていくその後ろ姿を見送った後、崩れるようにその場にしゃがみこんだ。
今頃になって、再び頬が疼き出す。
「これは効いたなぁ……」
目が覚める一発だった。
みちるちゃんの言葉はまさしく正論で。
“楽しい”だけを追求していた俺は、いい加減以外の何者でもなかった。
答えられない想いを寄せられれば、突き放すのが優しさだって、そんなのただねじ伏せているだけ。
そんなことにも気付かないで、彼女たちを傷付けてきた。
「俺ってサイテー……」
自分が情けなくなって、空を見上げ、深い溜め息と共にそう漏らす。
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