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「私、別に強くなんか……」
ふて腐れたように呟くみちるちゃんに苦笑いを返す。
「勿論、みちるちゃんの全部が強いなんて思ってないよ」
みちるちゃんはその意味を問うように、鋭い視線を泳がせながらこちらへ向けた。
「自分の悪い所や他人の良い所を認められるのも強さだと思うし、誰かの為に怒れる事も強さだと思う。みちるちゃんの持つ、そういう“強さ”に、俺は憧れちゃうよ」
俺は今まで自分の事ばっかりで、他人を知ろうとする事も、誰かを思いやる事さえ、出来なかったから。
「……っ、なんなの、もう!誉め合ってどうすんのよ」
「ははっ」
うっすらと赤く染まる頬を手で隠して俯くと、みちるちゃんは「バカ」と弱々しく付け加えた。
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